昨年に続いて全日本オセロ選手権大会に出場することになった。
全日本オセロ選手権大会は今年で38回を迎えるオセロ界でもっとも歴史のある全国規模の大会である。毎年7月頃行われ、その予選である各地区のブロック大会が全国各地で6月ころ行われる。全国を数ブロックに分割し、その各ブロックで予選を行い、全国大会の代表を選抜するのである。
全日本大会の予選の特色は、各ブロック大会には各ブロックに居住する人だけでなく、他ブロックに居住する人も参加できることである。したがって、自分の居住するブロックのブロック大会の日程が都合が悪い場合には、都合のよい日程で開催するブロックのブロック大会に参加できる。
私は東京に居住しているので、本来私は東京ブロック大会に出場すべきところである。しかし、私は北関東ブロックである群馬県の出身であり、北関東ブロックには思い入れがあることから、6月6日に開催される北関東ブロック大会に出場することとしたのである。
例年この日はMt.富士ヒルクライム大会と重なるので北関東ブロック大会には出場できないのだが、今年はMt.富士ヒルクライムの申し込みを締め切られてしまって参加できなかったので、こちらに参加することができたわけである。
北関東ブロック大会の会場は霞が関である。霞が関とはいっても、私がいつも通勤で通過する東京の霞が関ではなく、川越市にある東武東上線沿線の霞が関である。こちらの霞が関はのどかな住宅街という感じ。
午前9時半受付、午前10時試合開始であり、家から相当離れた場所にあるので、午前7時くらいに家を出る。池袋に午前8時くらいにつき、東武東上線の急行に乗って午前8時半くらいに川越市駅につき、そこから各駅停車に乗り換えて、午前8時40分くらいには霞が関についてしまった。
会場は霞が関駅北口から比較的広めの道をまっすぐ歩いて10分くらいのところなので、明らかに早く着き過ぎである。今から会場に行くと、あまりにも早く着き過ぎていかにもオセロ大好きです気合い満々と見られそうで何かはずかしい、どうしようと思っていたところ、駅前にガストがあったので、そこで食事を取っていくことにする。
ガストで食事を済ませてガストの面した道をまっすぐ10分ほど歩いて行き、会場である川越西文化会館に到着する。参加者が三々五々来ている。会場である部屋はどこかと探すと、どうも2階にある和室らしいことがわかるので、そこに行ってみる。
数名の参加者と和室でゴロゴロしながら主催者を待つが、受付時間を過ぎても一向に主催者がくる気配がない。これはどうしたものかと不審に思ったところ、主催者の人が来て、この和室も大会で使うが、受付は別の部屋だというので、そちらに行ってみる。
別の部屋に行ってみると、そこには結構参加者が詰め掛けている。このブロック大会を事実上仕切っているのが北関東ブロックの事実上のドンであるオセロ連盟理事の北島さんである。
この人は私がオセロを始めた30年以上前からの知己。四半世紀前に川越オセロ研究会を開いて以来事実上北関東ブロックを仕切っている。体重100kgを超す巨漢で、その人柄も実におおらか。北島さんとはよくオセロ界のあぶない昔話をしては爆笑している。
それはそれとして、私は昨年全日本大会に出場しており、昨年全日本大会に出場した選手はシード選手として、シード選手同士の対戦は組まれないようになっている。シード選手には、過去の全日本チャンピオンが2名おり、この二人と対戦しなくて済むのはありがたかった。
今回は全部で7回戦行われるスイス方式のトーナメントである。7回戦やって、5勝した人が勝ち抜けで全日本大会の代表資格を得る。5勝勝ち抜けで5名の代表を選ぶのだが、最終戦で5勝勝ち抜けの人が5人以上になるときは最終戦で5勝した人の間でのプレーオフで代表を決める。
参加者数が奇数なので、不戦勝の人が1名でることになった。じゃんけんで私が不戦勝の権利を得た。5勝中1勝を戦わずして得られたのは大きい。そういうわけで、1回戦不戦勝。
1回戦の間、隣の部屋が琉球舞踊の発表会の控え室のため、なにやら騒がしかった。特に、へたくそなバイオリンでキーキーと沖縄民謡が奏でられているのには参った。対局中にもかかわらず、肩をプルプルと震わせながら随所ですすり笑いの声が漏れていた。
このままだとどうしよう、別の和室に移動しようかという案もあったが、どういうわけか2回戦以後バイオリンや騒ぎはおさまった。
2回戦から対局に入る。棋譜を覚えているものについてはここにあげる。
2回戦 U四段
この人と対戦するのは四半世紀ぶりくらいかもしれない。お互いにオセロのトーナメントにはあまりでないので結果としてそうなってしまうのだろう。大きな困難を伴うことなく快勝することができた。
3回戦 N三段
この人には昨年の名人戦予選で、あと1勝すれば名人戦本戦出場というところで負けている。若手の伸び盛りのプレイヤーという感じ。中盤の入り口でやや無理目な手を打ってしまい、ああやっちゃったと思うも後のフェスティヴァル、終始押されぎみになって負けてしまった。力づくの無理目な手は、結構すきなのだが、やりすぎはいけない。
4回戦 S三段
この人はかつてちいさいひよこのフィギュアをもって現れたことから、ピヨピヨさんと異名をとった。しかしピヨピヨさんとのかわいい異名とはうらはらにオセロは結構強い。かつてこの人が全日本大会北関東予選を通過したときのこの人のうれし涙には感動した。
私の白番。私の得意の進行から若干変化したところ、どこで間違えたか若干無理目の進行になった。えーいこうなったら白一色の辺を作って種石を消し、一気に押しつぶしてやる〜、という、決まるとめちゃくちゃ快感だが、薄氷を踏むように神経を使い、かつ失敗すると一気にサンドバッグにされる戦法に出る。こういう戦法は嫌いなのだが、私のオセロの場合、成り行き上そうなってしまうことが少なくない。
途中相手に誤算があったか、意外と打ちやすいなと思い、最後相手の意表をつく、ホワイトラインの切れないX打ちを放って相手の手を詰め、寄り切ることができた。
黒S3段 29 白goiss5段 35
どうもゼブラ的にみると、33手目が変調だったもよう。ここで次34手目を打ったあたりから白に急激に流れが移ったようだ。36手目あたりでは白優勢になっている。37手目までで白勝ちの形勢となった。
5回戦 K初段
この人と対戦するのは初めて。しかし対戦カードであたった相手と成績をみると、結構強そうな感じ。
最近はインターネットやソフトでオセロの修行をしてあっという間に強くなる人が続々と出ている。そのため、オセロプレーヤーの間にさほど大きな力の差はなくなってきた。誰と打っても楽な試合はひとつとしてない。
私の黒番。いわゆる戦車定石のヴァリエーションからの進行で、一瞬やばいかと思った場面もあったが、結局いいタイミングで相手に手を渡して黒壁を崩させることに成功した。途中例によって力技の手を放ち、ちょっとやっちゃったかなぁと思ったが、結果として大勢に影響はなく、勝勢を築いた。時間が押してきたため最後やっつけ仕事であまりよく読まずに打ったが、それでも33対31での勝ちであった。
黒goiss5段 33 白K初段 31
ゼブラ的にみると、32手目のX打ちがどうだったかというところのようである。時間に追われて打った47手目が失着だったようで、ここで左辺を取っていれば18石勝ちのようである。しかし、その後13手は双方最善、特に私の方は一手でも間違えたら負け、というシチュエーションだった。何も考えずに一瞬で57手目を打ったあたり、野生の勘がさえていたのかもしれない。
6回戦 O3段
ついに4勝までこぎつけ、あと1勝すれば代表だというところまできた。私の白番でいわゆる蛇定石から、途中まで一昨年の世界選手権決勝戦と同じ進行。途中までやや押され気味ながらも互角の進行と思ったが、どこかで間違えたか結局負けてしまった。
7回戦 U初段(?)
泣いても笑っても最終戦である。ここで負けると全日本大会への出場の目はない。対戦カードの相手と成績から見ると、なかなかの打ち手であることがわかる。最近は本当にプレイヤー間の実力差が縮まり、誰と打っても安心できない。
私の白番。いわゆる裏こうもり定石からの進行。私に勘違いがあったか私の思ったより形勢が芳しいというわけではない。しかも、よせばいいのに「やっちゃった」の一手があり、そこで「ちょっと今年はだめかもな」と思った。しかし、根気よく粘っているうちに、すこしはやれるかなという感じになってきた。
中盤に相手がX打ちをして形勢が緊迫し、詰むや詰まざるやという感じになってきた。薄氷を踏むように神経を使う対戦である。しかし、相手の最後の勝負手に対するこちらの返し技が決まり、最後相手の時間不足もあってバタバタと進み、結果として快勝してしまった。
白 U初段 20 白goiss5段 44
ゼブラ的には45手目が敗着のようで、これはg7にX打ちすべきだったようである。白安心してa1に打ち、以下黒に勝ちはなさそう。
そういうわけで、最後の最後で5勝勝ち抜けし、全日本オセロ選手権大会への出場を決めることができた。大会前、まったくオセロの勉強をしておらず、しかも今年に入ってオセロ大会には一回も出ていない。そんな中で何とか全日本大会への出場を決めることができてとてもラッキーだったと思う。7月18日の全日本大会までまだ間があるので、少しは最近の棋譜ならべや定石の研究をし、少なくとも序盤でサンドバッグにされるような試合だけは避けることができるようにしたい。
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