本州縦断旅行はしなかったが、昨日から1週間の休みはしっかりとってある。何せ私の公務員としての任期はあと1ヶ月半程度だが、まだ使っていない有給休暇は10日以上あり、しかもGWの時期に出張がはいってGWに人並み程度に休暇をとることができなかったので。
そういうわけで、この日午後からブラブラと神保町方面に出かける。無論CD猟盤のためでもあるが、今回は読んでみたい本がいくつかあったので、これを買いに行くのである。
地下鉄神保町の駅についたのが午後1時ころ。その時おなかが空いていたので、当然のように「いもや」に赴く。今回の「いもや」は、白山通りを水道橋方面に進み興産信用金庫の角を曲がったところにある「いもや」である。「人生劇場」裏にかつてあったいもやで天ぷらを揚げていた人がのれんわけで店を出したいもやである。ここはカウンター席で8席程度の小さめの店。この日も昼下がりであるにもかかわらず空席は2席のみという盛況。私が座った後1分ほどしてからもう一人客が入り、あっという間に満席となる。
例によって天ぷら定食を頼む。例によってお茶と天つゆ、次に味噌汁とご飯と、ゴルゴ13の射撃のように正確に出てくる。その過程で徐々に天ぷら定食臨戦態勢に向かって気分が盛り上がってくる。そして最後に待望の天ぷらの皿が出てくる。この日私が席についた後に別の客が来たので、後に来た客の分と併せて天ぷらを揚げるため天ぷらが出てくるのが遅くなるのではないかと危惧したが、そんなことはなく、私の分は私の分で先にちゃんと揚げてくれたのでよかった。600円であるにもかかわらず、相変わらずよい仕事をしてくれてうれしくなる。
天ぷら定食を食べておなかいっぱいになると、次は書泉グランデに向かう。書泉グランデは、三省堂書店に比べると店舗は小さめだが、在庫量は決して引けをとらないので結構気に入っている。閉店時間が早かった(午後7時半)のが難点であったが、最近午後9時に閉店時間が延びたので安心して本を見に行ける。
この日の目当ては、一つは宮脇俊三「最長片道切符の旅」である。この本は鉄道紀行文学の金字塔ともいうべき作品と思われるが、長いこと廃盤であり、このたび新潮社から復刻されたとのことなので買い求めることとした。鉄道紀行文学ではなく、自転車紀行文学というのも出てくるといいのだが、こちらは有名な疋田智氏がバイシクルクラブで連載している「日本史の旅は、自転車に限る!」あたりがその嚆矢となろうかと思われる。
もう一つは最相葉月「絶対音感」である。10年くらい前にこの本が出版された直後これを買って読んだ覚えがあるが、スイングジャーナル今月号で既にこれが文庫化されていることを知り、改めて文庫を買って読もうと思ったのである。一般に最相葉月の作品は、緻密な取材と正確な根拠をもってつづられているため実に説得力のある作品に仕上がっていて結構気に入っている。
書泉グランデ6階に行くと早速いわゆる「鉄オタ」コーナーが広がっている。目指す宮脇本はどこかいなと探すと、出版されたばかりなのか平積みになって何冊も置いてある。当然これを買うことにするが、その横に「最長片道切符の旅」取材ノートという本も併せて置いてあるのでこちらも買うことにする。書泉グランデ6階は交通関係のフロアであり、自転車のコーナーもあるのかなと思ってぶらぶらしたが、自転車のコーナーはなかった。「自転車が社会的に注目を浴びているこのご時勢に自転車コーナーはないのか」といぶかしく思っていると、ちゃんと2階に自転車コーナーがあった。しかしそれは「交通」ではなくて、「アウトドア」のコーナーの位置づけであった。自転車の位置づけの難しさがここにも現れている。
1階の文庫本のフロアに行って、「絶対音感」を買おうとしたが、どういうわけかこの日この本は置いていなかった。仕方がないので三省堂書店に向かう。
三省堂書店2階文庫本のフロアへ行き、新潮文庫の棚に赴くと、さすが三省堂、ちゃんと最相葉月の本が4冊全部置いてある。この人の作品は結構気に入っているので4冊全部買ってしまう。その隣にあった齋藤孝「読書入門」もついでに買ってしまう。
続いて講談社α新書の棚に赴き、高山俊吉「道交法の謎」を買う。この人は日本交通法学会などに所属し、道路交通法関係をよく研究されている弁護士である。この本は、自転車の都市交通における位置づけを明確に論じた石田久雄・古倉宗治・小林成基「自転車市民権宣言」の注釈で引用されており、ちょっと興味があったので買ってみた(ちなみにこの「自転車市民権宣言」を是非購読することすすめる。)。寺島靖国・安原顯「JAZZジャイアンツ名盤はこれだ!」も買ってみる。寺島はどうでもいい。スーパーエディターヤスケンのジャズ批評に関心があるのである。
そういうわけで久々に本を大人買いして満足し、ディスクユニオンお茶の水ジャズ館へと向かう。この日はタル・ファーロー「タル」と、ウェス・モンゴメリー「フルハウス」が、中古で売っていたら買おうと決めており、それ以外のCDを買うことにはあまり関心はなかった。幸いにして両作品がそれぞれ840円と比較的廉価で売っていたので、これを買うことにする。この日本屋めぐりやCD屋めぐりで文化的に過ごし、自転車に乗らないにもかかわらず、なかなか満足のいくお出かけであった。
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