2007年10月10日

Christian Jacob @ Blues Alley Japan

 10月8日家内とともに目黒Blues Alley JapanにChristian Jacobを聴きに行く。Christian Jacobはフランス生まれ、現在アメリカで活躍するジャズピアニストである。この人日本における知名度は低いが、玄人筋からは絶賛されている、知る人ぞ知る、知らない人ぞ知らないピアニストである。ビル・エヴァンスやキース・ジャレット系統の美しいピアノを弾く人である。
 寺島靖国氏の本だと「歌のないピアニスト」とされている。確かに「歌」は、ジャズの本質を構成する要素のひとつであろう。しかし、ジャズの本質を構成する要素は他にもあり、「歌」のみを過大に強調した評価には与しない。

 開演は午後6時半と比較的早め。午後5時半ころBlues Alleyに到着すると、機材の搬入が遅れているので午後5時45分ころの入場となるとのこと。しばらくその辺で時間をつぶして午後5時45分ころに入場する。客はまだ2組くらいしか来ていない。座席がいっぱい空いているのにどういうわけか一つの丸テーブルに相席で座らされる。おそらく予約の際にすでに座席が指定され、たまたま相席になった人たちが我々の来た時間と近接した時間に来たということだろう。しかしそれにしてもこのピアニスト知名度が低いので客はあまり来ないかなぁと思っていると、徐々に客が入り、開演前には8割方座席が埋まる。私の予想していたとおり、多くの4人掛け丸テーブルは相席になっている。大勢で来る客はおらず、たいていが一人又は二人連れで来ていて、落ち着いた大人が多い。

 Blues Alleyは目黒駅から徒歩5分くらいの好立地にある。目黒にはかつて「SONOKA」というジャズのライブハウスがあり、小さいライブハウスではあったが熱いジャズを聴かせていた。しかし数年前に店を閉めてしまった(但し、道玄坂で、"Ko-Ko from SONOKA"として復活。)。
 Blues Alley Japanは、ブルーノート東京のような、小洒落て落ち着いたライブハウスである。しかし、ブルーノート東京のような巨大なスペースではなく、4人掛け円卓が20個くらいある程度のこじんまりとした店である。そのため、東京ブルーノートのように、巨額なチャージをふんだくられた上に外タレを遠くから1時間程度拝むことしかできない席に座らされたあげく、入れ替え制で1セットだけで追い出されるようなことはない。どの座席からもミュージシャンの演奏がよく見えるし、入れ替え制なしで1st setと2nd set双方をゆったり楽しめる。チャージについては、この日は6300円だったので、それほど安いというわけではないが、それでも1万円前後のチャージをふんだくるブルーノート東京に比べればまだリーズナブルである。大きくも小さくもなく、落ち着いてジャズを聴ける、良いライブハウスだと思う。
 また、ここは客席は禁煙である。タバコの煙やにおいに悩まされることなくジャズを楽しむことができる(隅の奥まったところにトイレがあって、その近辺が喫煙所になっている)。私が行ったニューヨークのブルーノートやヴィレッジヴァンガード、ワシントンDCのブルースアレイでも禁煙だった。すでにズージャとタバコの組み合わせは過去のものであると思う。ズージャとスリクーとの関係はどうなのだろうか。

 ちなみに、ワシントンDCにもBlues Alleyがあって、そこは全米屈指のライブハウスである。ウィントン・マルサリスやホッド・オブライエンのライブ盤がそこで録音されている。しかし、このBlues Alley Japanは、ワシントンDCのそれとは特に関係があるというわけではないとのことである。おそらくワシントンDCのBlues Alleyの使用許諾を得てロゴなどを使っているのだろう。

 だいたい定刻の午後6時半ころに演奏が始まる。Christian Jacob (pf), Trey Henry (b), Ray Blinker (ds)のピアノトリオである。

1st set
top down
it never entered my mind
too close for comfort
medley:春〜夏の思い出〜赤とんぼ〜雪の降る町を
Christian Jacob のoriginal曲(曲名忘れた)
I got rhythm

 基本的にキース・ジャレットやビル・エバンスなどの系譜に連なる美し系ジャズピアノである。それでいてかったるくなく、よくスイングする。バラードではリリシズムの横溢する美しいピアノを弾く。アップテンポでは時にアグレッシブに弾きまくり、時にビル・エヴァンスのように硬質かつ美麗な演奏をする。また、各自のソロの他、三者対等のインタープレイを重視する。生で聴いたからこういう印象を受けるのかもしれないが、ピアノ音が美しく、かつ意外とタッチが強靱に聞こえるという私好みのピアノであった。この人のピアノを直接聴くことができてよかった。

 このライブハウスでは、ミュージシャンをカメラで写して舞台横のプロジェクターで大写ししている。時折写されるChristian Jacobの横顔が、「疑惑の銃弾」三浦和義氏に似ていたと思うのは私だけだったか。

 MCは曲の合間に曲名を紹介するという簡単なもの。まぁ英語でギャグを言ってもどうせ観客にはわからないのでこんなものか。日本のリスナーへのサービスとして、日本の曲のメドレーを展開した。日本人なじみのメロディー及び曲に対するイメージを簡単に再構築してアドリブ展開していく。こういうのがジャズならではだと思う。

 1st setが終了した後、客席の後ろの方でサイン会が行われる。CDも売っている。私はまだChristian Jacobのミシェル・ペトルチアーニ集を買っていなかったので、これを買う。その後サインをしてもらう。私は"time lines"のCDのジャケットにサインしてもらった。私の前に並んでいた人は、Christian Jacobがサイドマンで入っているCDまで持ち出し、CDジャケット数枚にサインをしてもらっていた。コアなファンはいるものである。
 私が差し出した"time lines"のCDのジャケットを見ながら、Christian Jacobが「このレーベルにはもう一作吹き込みしているんですよ」と言うので「それはpresented by Maynard Fergusonですな。これはもう廃盤で入手が難しく、しかもとても高いんですよ」と返す。"presented by Maynard Ferguson"は、希少盤なのでやたらと持ち歩きしたくなかったので、time linesを持参したのである。
 ついでに先ほど購入したミシェル・ペトルチアーニ集にもサインをお願いすると、イヤな顔ひとつすることなくサインしてくれる。ジャズミュージシャンには結構横柄なのがいて、例えばNicholas Paytonなんかはそんな感じであったが、この人は結構気さくな感じである。私はすっかりこの人のファンになった。その後も30分の休憩時間のうち半分くらいは熱心にサインに応じていた。

PA090077_01.JPG

2nd set
time after time
muddy skies
even mice dance
just in time
little eyes
fine romance
all or nothing at all

encore-曲名わからず。アンコールの曲紹介のときに、「この曲をやるのはこれが初めてです。曲の名前は、多分聞けばわかりますよ」と言って演奏に入ったが、私は曲名をわからなかった。

2nd setの方が演奏がのってきた感じである。私が常日頃CDで聴いてきたChristian Jacobはこういう感じだったなと思う美麗な演奏であった。ピアノに寄り添うベースが、深く味わいのあるもので聴き応えがある。ドラムスも時に力強く時に繊細に演奏全体の色合いをつけていく。ピアノ、ベース、ドラムス三者対等にいい仕事をして歌・揺・美三位一体となった演奏を繰り広げていく。いやぁ〜ジャズのライブを聴くのは本当に久方ぶりだが、聴き終わって改めて聴いてよかったと思う演奏で大満足であった。

 午後9時頃ショータイムが終了する。午後6時半と早めの開演だったので終了も早め。ショータイムが終わった後Christian Jacobのサイン会が引き続き行われる。この人お客との写真撮影にも応じていたので実に気さくな人である。このライブハウスのリスナーの態度は熱心で非常に行儀がよかったので、この人たぶん日本を気に入ったのではないか。事情が許せばまた来日してほしいと思う。

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posted by goiss at 21:14| 東京 ☀| Comment(4) | TrackBack(1) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ラストは、ナット・キング・コールも歌っている「アット・ラスト」でした。
Posted by 三具保夫 at 2007年10月14日 16:48
>三具サマ
SSJの三具サマですね。拙ブログに来場いただき大変うれしく思います。ラスト曲のご指摘もいただきありがとうございます。またのご来場をたのしみにしております。
Posted by goiss at 2007年10月14日 22:04
Peopletimeのなおきです。
レスが遅れましたが、ご訪問頂きましてありがとうございます。

私もJacobに行ってきました。良いピアニストですね。記事をTBさせて頂きます。今後とも宜しくお願い致します。
Posted by なおき at 2007年10月19日 23:53
>なおきサマ

ご来場ありがとうございます。TBあわせてありがとうございます。JacobはCDで聴くよりも骨のあるピアニストでしたね。今後も、たとえばPaolo di Sabatinoとか色々なピアニストを呼んでほしいものです。
Posted by goiss at 2007年10月24日 00:01
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Tracked: 2007-10-19 23:49
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