この日曇りであるが、翌6月29日は80%の確率で雨である。一昨年のMt.富士ヒルクライムおよび昨年のツール・ド・美ヶ原で経験して、面白くないものであることが判明していたため、私は雨が降ったら出場しないつもり。翌日降雨のためのDNSの可能性があることも容れて、6月28日のうちにスタートからゴール地点まで登ってしまうことにする。そういうわけでヒルクライムの準備をし、午後2時半ころ出発してゴール地点まで自転車で登って降りる。そのときの走行レポートは気が向いたら書いてみる。
ちなみに、この日スタートからゴール地点まできちんと走行する人たちが、思いのほか多かった。あるいはわれわれと同様翌日降雨80%のため、降雨時のDNSを見込んで後顧の憂いなきよう前日にツール・ド・美ヶ原のコースを走っておこうと思っている人たちかもしれない。
この日は美ヶ原温泉の「きみの湯旅館」にて宿泊する。ここはこじんまりとした日本風旅館で、よくまとまった内風呂と露天風呂に入りなかなか気分がよかった。また食事がとてもおいしく、特にアユの甘露煮や山菜ごはん、山菜の天ぷら、馬刺しなど趣向を凝らしたメニューをとても楽しめた。さらに旅館のおかみさんが何となくお母さん風の人で親しみのもてる方であった。そういうわけでこの「きみの湯旅館」、なかなか居心地がいい。
この日は雨の降る気配はなかったが、私はもう翌日雨だと断定し、かつすでにツール・ド・美ヶ原のゴール地点まで登ってしまったのでもう思い残すことはなく、すでに99%出走しない腹積もりをしていた。そのため、早起きすることを考えずにじゃんじゃんビールを飲んで食事に舌鼓を打っていた。これではサイクリング+お気楽温泉旅行ではないか。エディさんや剛さんは、万が一晴れれば出走するつもりであるが、雨の程度によっては出走しないつもり。そうなったら3人で長野県内ドライブである。
翌朝になると何となく外から雨音が聞こえる。これは結構降っているなぁ、参加者の人は大変だろうが俺は出ないぞと思う。そうこうしているうちに「ツール・ド・美ヶ原中止」の報が入る。外を見てみると土砂降りまではいかないが、それに近い相当激しい雨降りである。これではヒルクライムの下山でブレーキが効かなくて危ないし、競技中だってどんな事故が起こるか分からない。こうなると、今年の我々と同じように、ツール・ド・美ヶ原が降雨で中止になったときに備え、前日にツール・ド・美ヶ原のコースを走っておこうという人が来年は殺到し、ツール・ド・美ヶ原のコースは、その前日に本番と同様の活況を呈しているかもしれない。
そうなるともう長野県内ドライブである。ツール・ド・美ヶ原参戦ツアーのはずが、急遽ただの山岳サイクリング+お気楽長野温泉観光ツアーに化けてしまった。しかしお天道様の都合とあっては仕方がない。「きみの湯旅館」さんのご主人とおかみさんに見送られて宿を出る。食事も温泉も宿舎施設も気に入ったので、来年もここにしようという話をする。
まずはツール・ド・美ヶ原受付会場へ走行時間計測チップを返しに行く。受付会場に行くと、主なきスタート地点で、今年はもう使われないスタートの横断幕がさびしく雨に濡れそぼっている。降りしきる雨の中人影のまばらなスタート地点で、JCAのテントで待機する役員の人に計測チップを渡す。
このツール・ド・美ヶ原、どうも歴史があるヒルクライム大会のようで、梅雨のど真ん中の時期であるにもかかわらず、ずっとこの時期にやってきたようだ。そういう経緯もあったり、浅間温泉に客が来ない時期を狙って客を呼んで街を活性化するという意義でこの時期を選んでいるということもあろう。
しかし、昨年大会開催中に降雨があり、帰路で落車があったり今年も降雨で中止になったりしたこともあるし、梅雨のど真ん中の時期なので、来年降雨もなく無事開催することができるかだって保証はできない。せっかくヒルクライム熱が上がってきている今日この頃に、降雨中止の可能性の大きい梅雨時をわざわざ選んでツール・ド・美ヶ原を開催するのは本来適当ではないと思う。ツール・ド・美ヶ原の開催時期はちょっと考えたほうがいいと思う。
計測チップを返却した後自動車を発車させると、受付会場の近くに引退した鈴木雷太選手(MTB)の開いた自転車ショップが見える。この日はツール・ド・美ヶ原に出るはずだった人がGEKISAKA Tシャツを着て雷太選手の店に集まるのだろう。
結局この日は長野観光。まずは松本城を見学する。その後鹿教湯(かけゆ)温泉に出かけて温泉につかる。鹿教湯温泉は国民保養温泉に指定されている位であり、効能のある温泉であると聞く。温泉につかった後そばがきともりそばを食べる。長野県のそばは風味が豊かで実にうまい。
鹿教湯温泉を出発した後は上田の飯島商店でみやげものを買う。ここは、果物の飴である「みすず飴」やジャムが有名であり、歴史ある重厚な店内で店員さんが実に品のいい応対をしてくれる。珍しいので桑の実のジャムを買う。
上田を出発した後東御市へ赴き、まずはエディさんのご先祖様のお墓参りをする。その後東御市の「アトリエ・ド・フロマージュ」に行く。ここは文字通りチーズ工房であり、様々なナチュラルチーズを販売している。ここは結構有名な店らしく、駐車場は客の車でいっぱいである。ここでは、チーズを作っているところを見ることもできる。おいしいチーズをさんざん試食した揚句、私はここでカマンベールチーズを買っていく。なおここにはイタリア料理屋も併設されているが、すでにそばがきともりそばでおなかいっぱいだったので、こちらでは食事はしない。
東御市を出、長野ドライブの最後に軽井沢のメルシャンの工場に出かける。ここは1955年に設立された歴史のある工場である。ウィスキーの醸造もしている。メルシャンがウィスキーをやっているとは知らなかった。
その醸造場を15分ほど見学した。発酵のための道具や、銅でできたディスティラー、ウィスキーを寝かせてある樽の倉庫などを見て面白かった。
工場には売店が併設してあって、各種ウィスキーやワインが売っている。私はワインには興味はないのだがウィスキーは好きである。そこには10年物から30年もの位の樽出しウィスキーが売っている。それらはここの売店限定発売のものであり、アルコール度数は60度前後でまさに樽出し、いわゆるカスクストレングスである。そういうウィスキーをみると居ても立っても居られないのだが、「ルージュカスク」を買うことにする。これは赤ワインの樽に寝かせた13年物のカスクストレングス。アルコール度は63度。300円で試飲ができる(なお、300円は、試飲に使用した軽井沢工場オリジナルのグラス代。)ので試飲してみると、フルーティーで若干の酸味があり、ブランデーとウィスキーの中間位の快い飲み心地。なかなか気に入ったので、これを買っていく。500mlで4000円位。あとでこの日買ったチーズをつまみにこれを一杯やるのが楽しみである。
そういうわけでツール・ド・美ヶ原だったはずのツアーを山岳サイクリング+長野温泉観光ツアーに変更したうえで、これを無事に終えて午後7時半くらいに帰宅する。天候が悪いためなりゆきでこうなったが、それにしてもとても楽しかったのでそれはそれでよかったと思っている。
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