私は吉田自転車のツアーに参加して前日から美ヶ原入りする。午前10時頃吉田自転車前を出発して中央高速〜長野道を通り松本に午後2時過ぎくらいに到着。意外と速く到着することが出来た。
松本市野球場の駐車場にて受付をすませ、スタート直後の激坂区間を試走する。これが結構すごい。最大斜度22%、平均斜度15%の激坂が壁のようにドバーンと迫る。激坂区間は3〜4kmほどなのでそれほど長くはないが、東京を普通に自転車通勤していたのでは絶対にお目にかからない激坂区間である。用意してあった長袖ジャージで激坂を上ったので汗まみれになってしまいとてもまともに上れたものではない。しかもこの間それほど舗装が良くないので走行しにくい。しかたなく2,3回脚をついて激坂区間のうち最も激的な部分の200メートルほどぶらぶらと押して激坂区間を上る。もし本番でこの激坂区間に直面したら激坂登板はおろかレースすら放擲してしまいそうなインパクトがあった。
最激区間を歩いて上ると舗装が良くなって走行しやすくなる。ここからは22%もあるような激坂はないのだが、それでも結構きつめの坂が延々と続く。
これをエイサコラサと上ると、ようやく広めの道路に出る。ここを右手に折れて美鈴湖へと向かう。ボトルの水を飲みきってしまっていたので、途中レストハウスに寄って自動販売機で飲料を買って飲む。そのレストハウスには子猫がいて客がじゃらして遊んでいる。子猫が一匹いると雰囲気が和む。弾丸飛び交う緊迫した戦場に一匹子猫を送り込んだら結構簡単に和平できるのではないか。いやそれは無理か。
美鈴湖に寄って折り返す。ところが激坂区間なかなか下りが私にとっては難しく、私は落車してしまう。落車してでんぐり返りしたあと、ちょっと首近辺をねんざしたようだが、手足は動くので明日のヒルクライムには支障なさそう。自転車も無事であるようだ。しかしこれ以上ちょっと自転車で走行すると危ないので、慎重を期して自転車を押して下ることにする。
松本野球場の駐車場に戻ると、「goissさんまず顔を洗ってきましょう」とエディさんが言うので顔を洗いに洗面所に行って鏡を見ると、顔が泥だらけになって鼻の下の当たりが切れている。しかし下り坂での落車でこの程度で済んでよかった。F1レーサーのクビツァがカナダグランプリで大クラッシュしたにもかかわらず軽傷で済んだのは、ヘルメットにヨハネパウロII世の名前がヘルメットに書いてあったかららしい。私のヘルメットはセレブなので、誰かセレブの人が私を守ってくれたのだろう(う〜んそのセレブとヘルメットのセレブとでは綴りが違うので無理があるか)。
その後「旅館ほしな」にチェックインする。ここは素泊まりで一泊3000円台という奇跡的な値段である。自転車目的の宿泊であれば、とにかくちゃんと寝られればよいので安いに越したことはない。ここにも猫がいる。使っていないライトバンがそのまま猫小屋になっていて猫が2匹飼ってある。猫はかわいいがしかし猫小屋はあまり手入れされておらず臭い。
「旅館ほしな」にチェックインするとまずは風呂。「ホットプラザ浅間」に行って入浴する。「ホットプラザ浅間」の近辺にもまた猫がちょろちょろしている。東京ではあまり見かけない風景でめずらしい。ツール・ド・美ヶ原の受付をすませたあとにもらう書類袋の中に「ホットプラザ浅間」の割引券が入っていたのでこれを使って安めの値段で入浴する。なかなか広々としてきれいなお風呂。ゆったりと入る。
風呂に入った後は三ツ矢サイダーを飲むが、エディさんがうまそうにコーヒー牛乳を飲んでいるのに触発され、私もコーヒー牛乳を飲むことにする。そういえば銭湯後はコーヒー牛乳が定番だったなぁ。腰に手を当てるオヤジスタイルでコーヒー牛乳を飲む。
風呂の後で食事にする。松本には特に地元特有の料理というものはないらしいので、特に地元特有料理の店を探すということはせず、旅館への帰路適当な店を見つけ次第はいるという方針で店をみつけることにする。すると、エディさんが「山賊焼」と看板に書いてある店に惹かれたので、山賊焼の店に入ることにする。「河昌」という店である。メニューに「山賊焼定食」とあるので、どんな料理だか見てみると、どうも大きめの鳥の唐揚げらしい。ツアーのメンバーの殆どが山賊焼定食を頼む。
ただの大きめの鳥の唐揚げなのに何故山賊焼なのかといぶかしく思っているとメニューに店主敬白の山賊焼の由来がちゃんと書いてある。詳しくはこちらなのだが、要は山賊は物を「取り上げる」ので、「取り上げ」を「鶏揚げ」に引っかけて山賊焼と命名したとのことである。「山賊焼」というネーミングにはなかなかインパクトはある。しかし、山賊と直接は全く関係なくてただ語呂だけで命名しているし、そもそも「揚げ物」なのに「焼」と称している。しかも、ネタとしてそれほど面白いというものでもない。細かいことをいちいち詰めていると小一時間あっても足りないだろう。この店主は、細かいことにこだわらずにダジャレとかオヤジギャグを連発する人なのだろうと思う。
食べてみると、やたらでかくて熱い鶏の唐揚げが出されたので、どうやって食べていいかちょっと考えなければならない。私はこれを箸で持ち上げてガブりつく作戦で食べることにした。訳のわからないネーミングとはうらはらに結構うまい。命名の由来はどうでもいいからとにかくインパクトのある商品名で客を引き込んでしまえばこっちのものという作戦もありだな。
食事を終えると翌日の朝食等の買い出し。最初「河昌」のそばにあった安売りの酒屋に行ったが品揃えがいまいちなのでちょっと自動車で走って西友へ。西友といってもただの24時間スーパーである。そこでパンやら水やらビールやら色々買って宿に戻る。翌日スタート時間が午前7時半と早いため午前4時には起床しなければならない。そのために大宴会はせずちょっと酒を飲んで早めに寝ることにする。
翌朝午前4時頃起床して、前日買ってあった朝食を各自摂る。私はメイプルシロップとマーガリンをはさんであるパンやヨーグルト、野菜ジュースを摂る。午前5時くらいに宿を出発する。天気は曇り。昨年の富士ヒルクライムのようにいきなり雨ではなくてよかった。当面雨の心配はなさそう。特段の交通渋滞はなく野球場の駐車場に到着する。富士チャレンジ200など駐車場に入るのに渋滞する場合があるがそういうことがなくてよかった。
駐車場に車を置いて早速アップを開始する。私はその辺を適当にぐるぐると走行して体をあたためる。富士ヒルクライムほど参加者が多いわけではなく何となくのんびりした感じである。まだ時間が早いせいかトイレ混雑はなく、安心して軽量化を図ることができてよかった。
頃合を見て集合場所に赴く。まずはゴール地点に持って行ってもらう荷物をトラックにあずける。昨年の富士ヒルクライムのときゴール地点に上着等を持って行かなかったため、雨の中鳥肌総立ちで下山しなければならなかったことに懲りて以来、必ずゴール地点には上着と若干の小銭をあげておく。
クラス別に集合地点が指定されている。自転車がいっぱい置かれていて駐車場を埋め尽くし、実に壮観である。今回は参加者が3000人くらいいるらしい。富士ヒルクライムに及ぶ参加人数である。近時の自転車人気のすごさがよく現れている。「自転車は歩道にあげてしまえ」などと言った馬鹿で低脳な警察官僚に是非見せつけてやりたい光景である。
参加者の自転車をみてみると、コンパクトクランクが多い。激坂はさておき、このツールド美ヶ原は結構きつめのヒルクライムレースらしい。コンパクトクランクがあると有利であろう。私は今回コンパクトクランクを使用していないが、デュラエースのコンパクトクランクが出たら即座に導入したい。シマノから現在性能の良いコンパクトクランクが出ているが、性能的にもさることながらやはり見栄的には「DURA ACE」のロゴが入っていないといやである。カンパのレコードでコンパクトクランクが出ているので、デュラエースのコンパクトクランクを出すことも、シマノの技術力だったら造作もないことなのだろうが、デュラエースはシマノのフラッグシップパーツなので、やはり早期に変な物を出すわけにいかないのだろう。
開会式が始まって偉い人のご挨拶が続く。つまらないが、こういう偉い人の尽力があってこういう大会が開催されていることは確かであるし、こういうつまらない挨拶がないと、大会の体をなさないのもまた事実なのでやむを得ないか。その間一回トイレに行く。
開会式が終わると早速チャンピオンクラスの人がスタート地点に移動し、午前7時30分スタートの号砲が鳴る。しかし参加者が多いので、クラスごとにぞろぞろと参加者が移動してスタートしていく。そのため私のクラスは午前8時15分くらいのスタートになる。私のクラスの前の30代の人のクラスの参加者が最も多く、5〜6回くらいに分けてのスタートである。
そのクラスが終わると、ようやく私のクラスのスタート。スタート地点に並んで秒読みの声を聞き、スタートである。激坂に直面してどうやって走行しようか、とりあえずそのことが課題である。スタート直後だとみんなテンションが高いのでバピューンバピューンと走行していくが、私は激坂のことを考え、ペースを控えめにしてノッタラノッタラと行くことにする。
ところが、ここで心拍計がなぜか作動しない。どんなに走行しても心拍計の刻む数字はゼロである。昨年の富士ヒルクライムと同様、このポラール、肝心なところで作動してくれないのである。ポラールの場合、時々心拍計とかサイコン部分が作動しなかったり仕事をサボったりすることがあるので困る。心拍計が作動しないのでペースを把握することが困難になるが、まぁ仕方がないかと思って走行することにする。
(つづく)
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