2007年02月04日

自転車利用に関する緊急アピール

 平成19年1月29日付けで、東京都は「自転車の安全利用推進総合プラン」を策定し、かつ「自転車利用に関する緊急アピール」を発表した。昨年東京都は「自転車総合対策(中間のまとめ)」を発表したので、今回の「自転車の安全利用推進総合プラン」は、これを受けての提言ということであろう。

 そして、東京都は、利用者に是非とも守ってもらいたいルール・マナーを7項目の『自転車利用に関する緊急アピール』としてまとめた。その7項目とは、以下の通りである。

1)歩道は歩行者優先!歩道上の暴走は厳禁
2)迷惑・危険!二人乗り、携帯電話、並列走行、車道逆走
3)交差点では安全確認!信号無視、一時停止無視は重大事故に直結
4)夜間無灯火は絶対やめよう!夕暮れどきは早めに点灯
5)飲酒運転はダメ!自転車でも犯罪行為
6)いけません路上放置!駐輪場に入れ、鍵かけて
7)自転車ライダーの責任!賠償責任保険加入と年1回の点検整備

 概ね妥当な内容といえよう。特に1)〜5)、いずれをとっても自転車に乗る人の命、および自転車が歩道を通行する場合の歩行者の命を守るためのルールとして大切なものである。これらのルールさえきちんと遵守されていれば、道路交通法改正試案に提示されたアホルールなんか新設しなくていいはずなのである。例の「自転車が車道を通行することが特に危険な場合は、当該道路の自転車通行を禁止するなどの措置を講ずること」などというアホな条項を含む自転車対策検討懇談会の提言を踏まえて道路交通法改正案を作成しようとした警察庁の役人と、上記アピールを公表するに至った東京都の役人の頭脳の差というのはこれほど違うものかね。

 もっともこのアピール、「自転車は車道を通るべし」という、道路交通法上の大原則が入っていない。このアピールの柱書きでは、「自転車は、自動車と同様に車両の仲間ですので、車道の左側走行が原則であり、歩道については道路標識等で通行可とされている場所は走行できますが、その場合も歩行者の通行を妨げることのないようにしなければなりません。」とあるが、これはやはり上記アピール7か条のいずれかに挿入しなければ、この道路交通法の大原則の都民への周知・徹底の観点からは適当ではないと思う。このアピールの内容についての最大の問題点はこの点か。しかし、自転車走行のための基本的なルールとしては上記7か条は評価できると思う。

 問題はこのルール、ちゃんと警察が守ってくれるかである。「警察が守らせてくれるかである」ではなく、「警察が『守ってくれるか』」なのである。というのも、おまわりが自転車に乗る場合には、道路交通法違反のオンパレードだからである。例えば、おまわりさんが自転車に乗る場合、「歩道上」を「併走する」ことが多い。これは立派な道路交通法違反だし、上記7か条の「2)」に明らかに反している。
 「こんなささいなことを指摘しなくても・・・」という場合ではない。どんなに立派な7か条を制定しても、おまわりが7か条に違反した自転車走行をしていれば、「おまわりが守っていないから俺達だって守らなくてもいいじゃん」ということになり、結局7か条の遵守が徹底されなくなるのである。東京都がせっかく築いた立派な7か条を、「自転車は歩道に上がれ」とまくしたてる程度しか交通知識を持たないアホオマワリに土足で踏み込まれて無にされるようなことがあってはならない。

 第二東京弁護士会の警察庁へのインタビューの際にも警察庁の人が「交通ルール遵守の点は徹底させたい」と言っていたので、是非警察庁はオマワリに自転車走行の際の交通ルールの基礎くらいは寝言でも出てくるように叩き込んで欲しいものだ。

            *  *  *  *

 ところで、疋田智氏の「週刊 自転車ツーキニスト」というメールマガジン295号によれば、「警察庁は、今回の道交法改正にあたり、<提言4-2-4>すなわち「特に危険な道路は自転車の通行を禁止するなどの措置を講ずる」の部分を、法案化しない方針を固めた。」とのことである。

 「法案化しない方針を固めた」ということは、今まで「法案化される可能性もあった」とも読めるわけであり、「特に危険な道路」の解釈いかんによっては事実上幹線道路など自動車走行量の多い道は自転車通行が禁止されるような危険な条項が制定される可能性だってあったということである。全く警察庁は空恐ろしい法律を作ろうとしていたものだ。あらためて警察の恐ろしさを知った。
 疋田氏は「日本の警察はエライ!!」とほめているようだが、エライのは日本の警察ではなく、疋田氏のほうである。疋田氏がアホ法案のアホさかげんを指摘・公表し、それを受けた自転車乗りがパブリックコメントを大量に送付したことが日本の警察の重い腰を動かしたという見方が正統であろう。もっとも疋田氏の立場としては、これ以上警察を刺激せずに矛を収めるため、「日本の警察はエライ!!」と持ち上げているのだろうが。

 しかし、仮に「法案化しない方針を定めた」といっても、日本の警察は、道路交通法第4条第1項に基づいて自転車の車道通行止めをできる道路を定め(実際に定めるのは公安委員会)、これを道路交通法第8条1項にもとづいて国民に強制するという力を依然として持っている。依然として油断がならないわけだが、そうはいっても自転車を特別にターゲットとしてしばきあげるというスキームはまぬかれたわけで、その意味では「法案化しない方針を定めた」ということは意義あることだと思う。

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posted by goiss at 10:51| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 自転車 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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