<
神奈川600kmブルベ(その3)からつづく。なお、
神奈川600kmブルベ(その1)及び
神奈川600kmブルベ(その2)もどうぞ。>
【松本温泉〜第7PC】
このコースは、とにかく国道20号線をひた走り、県道12号線との分岐点の直前にある第7PCまで至る。途中塩尻峠と富士見峠を越える以外は下り基調である。松本温泉から第7PCまで大体73km位か。
松本温泉遊ingを出てすぐのセブンイレブンで朝食を済ませて出発、国道19号線を5kmも走って高出交差点を左折すると国道20号線、早速塩尻峠への上り坂の始まりである。 神奈川400kmブルベのときは夜間走行だったが今回は昼間走行。ここいら辺は結構夜真っ暗闇なので、昼間走行の方が周りの様子がわかって何となく安心できる。
新野峠で何となく感得したナンバ走行で右、左、右、左とトルクをかけながら39-21T 位のギアで時速13km位で登っていく。塩尻峠はそれほど激坂というわけでもないので、ヒルクライムの大会ならもっと重いギアでペースを上げてもいいが、まだ先が長いので慎重に行く。途中、リカンベントの人や平山副会長、日本長距離サイクリングの草分け的存在である井出マヤさんらに「おはようございまぁ〜す」と声をかけてパスする。各自が各自のペースで坂を登って自転車を楽しむ。何と贅沢な時間であろう。暗くてサイコンが見えず、先が読めなかった400kmブルベの時と比べて、今回は走行距離や走行速度がサイコンで読めるので、坂登りのペースをつかむのに役立ち余裕を持って塩尻峠を登れた。
8kmほど登って塩尻峠に到達。峠に到達した時の達成感が心地よい。後は快速のくだりだが、ここは交通量が多いためゆるゆると下る。そのため平山副会長や他の人にパスされる。今から思うともう少し速く走っても良かったかなぁと思う。下りは5km位だがあっという間。400kmブルベの時に塩尻峠を下り終わった後岡谷インター付近で国道20号線が二又に分岐しているところを諏訪方面に行かずに違う方に行った為ミスコースをした。今度は間違えずに諏訪方面に行く。ここら辺下り基調なので、40km/hペースで爆走する。平山副会長もパスする。諏訪市、茅野市走行はたまに登りがあるが基本的に平坦又は下りで苦労しない。しかしどうもこのあたりから尻がヒリヒリするなぁと思う。
茅野市を過ぎると、富士見峠への登りが始まる。まず一旦ややきつい登りがあって、そのあと下りなのだが、その後の登りが富士見峠への登りである。ここを登っていると、「ファイトぉ!!」と、通行する車から声をかけられる。時たまトレーニング中のサイクリストとすれ違う。しかし、東京方面からの登りと異なり、諏訪方面からの富士見峠への登りは大した距離ではなく、「あれっ??いつの間に??」と思うほどあっけなく「富士見峠」と書かれた歩道橋に出会う。あとは第7PCまでずっと下り基調。楽は楽なのだが、思ったよりもスピードが出ない。どうもおかしいと思うと、かなり強力な向かい風が吹いていることがわかった。このときは下り基調だったので、さほど向かい風は気にならなかったが、その後ゴールまでこの向かい風は私を含む本ブルベ参加者を苦しめることになる。途中信号待ちのところで金山氏と出会い、金山氏は私をパスしていく。金山氏絶好調の走りである。このあたり補給不足が露見してヘタってきており、とりあえず金山氏の背中を目標に第7PCまで残り5kmほど走る。
第7PCに午後12時半ころたどりつくと、金山氏を含む結構多くのブルベ参加者が昼食を取ったり休んだりしている。金山氏結構速いので、かつて自転車競技の経験があったか聞いてみると、そうではなく、自転車始めて5年目とのことである。金山氏は今年東京糸魚川ファストランにも出場された猛者である。
金山氏から、近藤新一郎さんという、かなりご年配で自転車を始められながら相当速い人の話を聞いた。この人は後にファンライド2006年7月号「ニッポン最速列伝」で紹介されている。他のスポーツと異なり、自転車は、かなり年配になって始めても、若い人と全く遜色ないパフォーマンスをすることができる珍しいスポーツである。私はまだ自転車に本格的に取り組みだして2年半位だが、それでもブルベを走る若い人と全く遜色なく走れるので非常にうれしい。これからますます自転車を楽しんでやろうと思う。
金山氏らと食事をしながら雑談していると、たけ@キヨシーズ氏が第7PCに到着したので、「ゴイス日記の作者です。」とご挨拶させていただく。今回のブルベでは、「陽風を感じて」の作者である、のむ氏にも会って挨拶させてもらった。サイバースペースで出会った人々と直接会うのは実に楽しい。
金山氏やたけ氏と雑談して楽しい時間を過ごした後、意を決して第8PCへと向かう。
【第7PC〜第8PC】
第7PCから、第8PCであるサークルK芝川町役場前店までは77km位。国道20号線から穴山橋T字路を南アルプス市方面に県道12号線を行き、小笠原橋北交差点を右折して国道52号線(富士川街道)を走り、上沢交差点を左折して富山橋を渡り、波高島T字路を右折して県道9号線〜県道10号線〜国道469号線〜県道398号線〜県道10号線と行って第8PCにつくというコースである。全体的に富士川に沿って南下していくというイメージである。
こう書いてみると、コースのポイントが明確であって走りやすそうである。確かに、神奈川400kmブルベの簡潔にしてポイントをついたキューシートをもとに走った者にとっては割合コースのポイントは明確である。しかし、今回の神奈川600kmのキューシートには、上述のような目印のうち結構省略されているものがあり、このコースを初めて走る人は少し困ったのではないかと思う。
県道10号線は何とものどかな富士川沿いの道である。南アルプス市に入るまでのあたりが結構アップダウンが多く、かつ信号も意外とあってストップ&ゴーが頻繁にあるため、結構疲れる。しかも向かい風が強くてこげどもこげどもなかなかペースが上がらない。そんな感じで13kmほど走って南アルプス市に入ると下り基調となるため7kmほど楽をしつつ爆走すると、小笠原橋北交差点に至り、ここを右折して富士川街道である。
富士川街道は若干アップダウンがある。とにかく向かい風が強くてペースが上がらない。市街地を抜けて富士川を左に見つつ走ると吹きさらしになるので、さらに向かい風が強力に感じられる。依然としてこげどもこげどもせいぜい時速25km程度しかスピードが出ない(時折時速20kmを下回る。)情けない状態であり、特に下り坂でも全くスピードが上がらないのには驚いた。
富士川のどす黒いせせらぎを左にみて走った神奈川400kmブルベの夜間走行と異なり、今回は昼間走行であり、富士川の広々とした眺めはそれ相応に開放感があっていいが、夜間走行のときのような静寂とか寂寞感とかを感じられず、趣という点では昼間走行は夜間走行に一歩譲る。早く上沢交差点出現しないかなぁと思いながら走っていた。小笠原橋北交差点から23.5km走ってようやく上沢交差点にたどりつき、富山橋を渡ってすぐ波高橋T字路を右折して県道9号線に入る。
ようやくこの区間の前半が終わって後半の33kmが始まる。ここから身延までは比較的平坦であり、向かい風は強いが困難な区間ではない。問題はその後である。まず10%近くある綴れ折の坂が待ち受けている。ここをエンヤコラサと登って疲れたので小休止。自動販売機で矢も楯もたまらず炭酸飲料を買ってのどに流し込む。五臓六腑に染み渡って生き返る。15分ほど休んで出発。
ここから第8PCまでの区間はアップダウンが激しくタフである。神奈川400kmブルベのときは、実はこの区間が最もタフだと思った。下り坂で爆走して勢いをつけ、登りをいけるところまで惰性で登るというアップダウン越えの常套手段で体力を温存して走るがそれでも結構疲れる。南部の街のあたりは比較的平坦だが、街を過ぎると再びアップダウンのある山道である。
この区間、最後の難関が、県道10号線から国道469号線に入ったあと山梨県と静岡県の県境を頂点とする、10%近くある上り坂である。ここをナンバ走り風に右左右左とトルクをかけて登るとようやく県境に到達。何ともいえない達成感がある。あとは下りを注意深く走行して稲子T字路を右折し、4.5km程 走ると第8PCに到着である。この4.5kmほど走れども走れども街が見えず、本当にサークルKなんか存在するのだろうかと思った。それだけに、神奈川400kmブルベのときと同様、サークルKの標識を見たときは心底ほっとしたものである。午後4時50分ころ第8PCであるサークルKに到着する。
おなかが空いたのでサークルKで食事をする。この日、シンガポールに赴任となる私の友人の送別会が新宿であるのだが、行けそうもないので行けない旨の電話連絡を送別会の幹事の人にする。そこにシンガポールに赴任となる友人もいたので、「英語は度胸だ!!」みたいな話をする。私は米国フィラデルフィアに1年、ワシントンDCに1年住んでいたが、英語は度胸だと思う。電話を終えて少し休んでから、ゴールへの最後の走行へと向かう。
【第8PC〜ゴール(沼津遊泳場)】
第8PCから県道10号線を12kmほど走ると富士川橋にいたり、ここを渡ってあと23km直進し、三園橋交差点を右折して国道414号線を4kmほど走るとゴールである。
富士川橋に至るまでの県道10号線は意外と走りやすかった。富士川橋は吹きさらしのため、横風で転倒しないように注意しながら走る。あとはとにもかくにもまっすぐ走ればいいだけだが、依然として向かい風は強く、夕方で車も多く信号待ちも多かったため、富士市内は意外と走りにくい。
走行中、信号待ちでブルベの人が追いついてくる。その方、先頭交代しながら行きましょうと申し出てくれるが、道が混雑して先頭交代が困難そうなので、とりあえず私が先を走ることにする。向かい風はしんどいが、後ろにブルベ仲間が走っていると思うと励みになる。
富士市を抜け、沼津市に入るが、ここからが長い。延々と松林が続く。行きには左手にきれいな松林を見てよい気分になったが、帰りにはそういう気分にはなれず、「早く松林が終わって沼津市街地に入らないかなぁ、そうしたらゴールまで近いんだけど」と思っていた。とにかくこの松林長い!!延々と13kmくらいは続いているだろう。向かい風にもめげず、スピードはさておきケイデンス80〜90を維持するように心がけるブルベ走りをしていく。ようやく松林が終わって沼津市街地に入ったときは心底安心したものである。あと沼津市街地の走行は殆どツールドフランスのパリ到着ヴィクトリーランの心境である。途中後ろを走ってた人に、サドルバッグがずれて後輪と干渉している旨の指摘をいただいた。こりゃスピードが出ないわけだわ。
沼津市街地に入り、三園橋交差点を右折して三園橋を渡るともうゴールは目と鼻の先である。まだ明るいがとにかく事故らないように慎重に行く。そうしてようやく沼津遊泳場にゴールする。前日午前6時から走行を始めて600kmよく無事で走りぬいたなぁ、これでシュペールランドヌールになったなぁと感慨しきりである。
例によって沼津遊泳場の木造建物まで自転車を押して行き、建物のそばに行くと、「おつかれさまぁ〜」とブルベのスタッフの人が声をかけてくれる。早速自転車を置いて建物に上がり、ブルベカード提出などのゴール受付を済ませる。午後7時ちょうどのゴールである。ブルベのスタッフやブルベ参加者と車座になって飲み物を飲んだり軽い食事をしたりする。マコ母さまがサンドイッチを作ってくれたのでありがたく食べることにする。何というか、家族的になごむゴールであって楽しい。
そうこうしているうちに、金山氏や柳沢氏が到着する。四方山話に花が咲き、何とも楽しい。ブルベを終えて、畳の上でみんなでくつろいでなごむ。沼津遊泳場ゴール地点ならではの風景と思う。
その後レーパンレーサージャージを普段着に着替える。そのとき尻の皮がむけているのに気がついた。尻がヒリヒリしたのはこれだったのだな。おそらく骨盤を使ってトルクをかけていたので、尻とサドルが摩擦して尻の皮がむけたのだろう。
600km走ると、私の二の腕が赤く日焼けしている。こんなに焼けているのは私だけかと思ってあたりをみると、ブルベを走った人の二の腕がみな同じように赤く日焼けしているのが面白かった。
タクシーの手配をできるかスタッフの人に聞いてみる。すると、スタッフの人が、三園タクシーの電話番号を知らせてくれた。そこで自転車を輪行復路に詰めて、携帯電話でタクシーを呼ぶ。10分ほどでタクシーがきたので、ブルベの皆に挨拶してタクシーに乗り込み、午後9時ころ沼津駅へ到着。沼津駅で30分ほど三島行きの電車を待って乗り、三島駅で新幹線に乗って東京駅に到着。東京駅からタクシーに乗って帰宅したのが大体午後11時くらいであった。
今年のブルベはとりあえずこれで終わり。2月に初めて走った千葉200kmブルベ、ビーフラインが結構きつかった埼玉300kmブルベ、山間部走行と家庭的なゴール地点が印象につよい神奈川400kmブルベの思い出が走馬灯のようにかけめぐる。毎回毎回が私にとっての最長走行距離への挑戦だったので、毎回毎回のブルベが実に新鮮であった。来年はPBPの年である。来年もシュペールランドヌールの座を目指す。来年はどこのブルベに出ようか。来年PBPに出るかどうしようか。来年のブルベシーズンが楽しみである。
(完)
人気blogランキングへ←ワンクリックいただけるとありがたいです。