【PC5〜PC6】
第5PCであるローソン諏訪普門寺店を午後9時過ぎに出発する。国道20号をしばらく走ると若干の登りがあり、これを下るとまたのぼりが始まる。再び富士見峠への登りである。しかし往路に比べると登りの距離は短く、往路程の困難もなく富士見峠にたどり着いて後は長い下りで比較的楽である。しかし国道20号時折車が通り、トラックなども走るのであまり調子に乗ってスピードを出すわけにいかず、走行スピードに関しては下り坂のメリットはそれほどでもない。速さを競うイベントではないので安全かつ疲弊しないように木を使いながら走ることにする。さすがに諏訪あたりにくると結構夜は寒い。昼間は暑くて半袖ジャージでもいいかなぁと思っていたが、長袖ジャージにしておいて正解だった。もう少し寒かったら、持参していたベストを着ていたところだっただろう。
国道20号線と県道12号線(南アルプス市方面)の分岐点を示した道路標識が見えたので、T字路(穴山橋T字路)を右折する。しかし、このあたりは街灯も少なく真っ暗であり、かつ周囲は農村風景で車どおりは全くなく、県道12号線であることを示す道路標識もなく、しかも県道12号線もそれほど広い道ではないので、本当にこの道でよかったのか若干心細く心配になる。とりあえず富士川に沿っていることだけを頼りに、方向が間違っていないことを確認する。方向さえ間違っていれば仮にミスコースだとしてもそれほどダメージは大きいものではない。それにしても、夜の川というのは、何というか引き込まれるような静謐さがある。特に富士川のような大きめの川だとなおさらである。好きな自転車をこぎながらどす黒く広漠としたせせらぎを闇と静謐さとともに味わえるとは何とも贅沢な時間である。このような時間は絶対に都会では味わえない。途中、直進方向が南アルプス市である旨の交差点の表示を見つけて安心する。結局県道12号線を12.5km走って第6PCであるローソン南アルプス街道店に午後11時半ころに到着する。第5PC出発から2時間少々だったのでまずまずの速度の走行か。ここでもおにぎりを食べたりジュースを飲んだりして適当に補給する。
【PC6〜PC7】
第6PCで20分位休んでから第7PCへと出発する。県道12号線は下り基調で、午後11時を過ぎると走る車も殆どないため、県道12号線国道52号線との交差点である小笠原橋北詰交差点までの6.5kmほどは苦労せずに走る。ただブリーフィングでは小笠原橋北詰交差点は目立たないので注意との指示があったので、走行再開してから6km経過したあたりで注意する。とりあえず国道52号線(富士川街道)の表示があったので安心して小笠原北詰交差点を右折して国道52号線に入る。あとは上沢交差点までこの道を25km弱まっすぐ行けばいいのでミスコースの恐れなく安心して走りに集中できる。
さすがに国道52号線は幹線道路だけあって、深夜にもかかわらずたまに車が通る。爆走トラックが通ると身が凍る思いである。さすがに尾灯、反射材、ヘルメットで身を固めて走行すると、露骨にクラクションを鳴らしたりするアホ車はいないが、かといって自転車のそばを徐行する車もいない。歩行者のそばを暴走する自転車には赤切符だという議論があるが、じゃぁ自転車のそばを暴走する自動車はどうなんだと毒づいてみたくなる。しかし依然として富士川のどす黒く広漠としたせせらぎを左手に見ながら闇と静寂の中好きな自転車をこげるという贅沢な時間を味わうことができることには変わりはない。さすがに昼間のような快走ができる余力は残っていない。しかし85ケイデンス前後を維持し、ペダリングが重くなるといったんギアを軽くし、調子にのってきたらまたギアを重くすることで一定のケイデンスを維持することで、それほど疲れを感じることなく走ることができる。
市街地を通ったり洞門やトンネルを通ったりと平坦ながら変化に富む52号線を通り、ようやっとという感じで上沢交差点を左折し、富山橋を渡ると、右折身延駅の標識が見えたのでそこを右折する。右折した道がそれほど広くなく、街頭もなく真っ暗なので、本当にここでいいのかいなと思う。しかし曲がったT字路に「波高島」の表示があったので、「ここがキューシートにある波高島T字路なんだろうな」と思い、かつその道が富士川に沿っているのでまぁこの道でいいんだろうなと思う。この道、街灯が全くなくて真っ暗闇であり、しかもアップダウンが結構ある山道なので、それほど走りやすいわけではない。身延駅近辺の明るい町並みを過ぎると、南部までまたどす黒く結構きついアップダウンのある山道に戻る。波高島T字路から17kmほど走ったところに第1PCだった南部のヤマザキデイリーストアがあるが、ここは午後11時で閉店するためもう復路はもうPCではないことを思い出した。それじゃ第7PCはどこかなとキューシートを確認すると、それは15kmくらい先の芝川にある。
南部の町並みをパスすると、またどす黒い山道に戻る。このあたりの山道のアップダウンは結構きつく、情け容赦なく体力を奪う。50km以上走って疲れたので、そこら辺に停車してその場を勝手に臨時PCとする。そこで野ションをしてパワージェルを食べ、5分ほど休むと元気が出たので走行を再開する。依然としてアップダウンのあるどす黒い山道が続き、最後に妙に長い坂が続くなあと思ったところ、それが稲子T字路のそばのプチ峠であることに気がついた。これが最後の難所と思って39-21位のギアでじわりとヒルクライム体制になって登る。上りきったところが山梨県と静岡県の県境であり、そこから芝川町が始まる。最後の難所は越えたとはいえ依然としてどす黒い山道であり、第7PCのサークルKのありそうな人里の明かりは依然として見えてこない。どす黒い静寂の中自転車をこぐというのは実に得がたい経験であり、それはそれですばらしいが、他方目標地点がはっきりしないと不安でそれはそれで困るものである。どうにかこうにかサークルKらしい看板が遠くに見え隠れしたときは実に安心したものである。第7PCについたときは日付は変わっていて午前2時45分。結構きついアップダウンが多く、暗闇で走行しにくく、しかも区間距離が一番長かったので、このブルベにおける最難関区間は、実はPC6からPC7の間ではないかと思われる。
【PC7〜ゴール】
第7PCを午前3時ころ出発する。もう大きな難所はなく、ミスコースをするような場所もなく、後は平坦なコースを36kmほど走ってゴールへと向かうだけである。県道10号線を富士川沿いに走り、途中トンネルをくぐった後富士川橋を渡る。富士川橋は長い橋で、何となく走っていると気分が良い。富士川のどす黒く広漠としたせせらぎともこれでお別れである。あと県道396号線、国道139号線、県道380号線を走ってゴールである。走行中、「沼津18km」の標識を見たとき、及び「沼津市」の標識を見たときは、「このブルベも申すぐ終わりかぁ。良くここまで来たなぁ」との感慨ひとしお。ところが「沼津市」の標識を見てから長々と右手に松林ばかりが広がり、なかなか沼津市街地に入らない。沼津市に入ってからの走行が意外と長く、精神的に結構疲れる。ようやく沼津市街地に入り、三園橋交差点まで来たときは、東の空が明るくなりかけていた。せめて夜が明けないうちにゴールしたいとの一心で国道414号線を南にひた走り、ようやく学習院遊泳場の看板を見つけて自転車を降りる。やっとゴールだ。
ところが、ゴール地点に人が見当たらない。ゴール地点の木造家屋に電気がついていて人がいる気配。そこに自転車をとめると、建物からスタッフの人が出てきて「お疲れ様〜、4時39分ですね〜。こちらにあがってコタツにでもあたってください」と声をかけてくれる。建物に上がるとスタッフの人がコタツにあたっていて、コタツの上には魔法瓶やお菓子、粉末スープなどが置いてある。奥の部屋では先にゴールした人が3人くらい寝ている。なんとも温かみがあってほのぼのとしたゴール風景である。私もコタツにあたり、ブルベカードとPC到着を証明するPCでもらったレシートをスタッフの人に出したあと、お菓子を食べスープを飲んで休む。400km完走記念メダルを希望する旨を申し出て代金1000円を払う。私の前後にはブルベで走る人は全く確認できず、当分誰も来ないだろうなぁと思っていたところ、私の到着後10分くらいして若い人が到着する。ちなみにその方のブルベ参戦記はこちら参照。どうも第7PCとゴールの間で寝ていたところ、私が通過した音で目を覚まし、走行に戻ったとのことである。その後スタッフの人に布団のありかを教えてもらい、奥の部屋で布団を敷いて寝る。このゴール地点は仮眠できるので大変気に入った。
朝目を覚まして服装を整え、表の部屋に出てみると、ブルベの人たちが続々とゴールしている。時間を尋ねると午前8時半。3時間半ほど仮眠したことになる。荷物をまとめ、スタッフの人たちにあいさつして9時15分位にゴール地点から沼津駅に自転車で向かい、沼津駅で自転車を輪行袋に詰めてからアジの寿司弁当を買って午前10時28分熱海行きの電車で三島に行き、午前10時57分のこだま号東京行に乗る。たまたま禁煙車両の最後部の座席が空いていたので、座席の後ろに自転車を置いて一路東京へ。おなかが空いていたのでアジの寿司弁当を車内で食べる。おいしかった。東京駅到着後タクシーで帰宅したのがお昼過ぎくらい。とにかく無事にブルベを楽しみ、無事に帰宅できてよかった。
【4月22日〜23日】マドン(神奈川ブルベ400km中)
走行距離 410.0km 走行時間16.52.10 平均速度24.3km/h 最高速度81.2km/h(本当かと思うが本当という気もする。) 積算走行距離1352.8km+1494.3km 最高ケイデンス137 平均ケイデンス75 最高心拍数231 平均心拍数135 消費カロリー9290kcal.(但し、心拍測定のためのバンドが途中ずれていた箇所があるため、心拍数に関するデータおよび消費カロリーについては正確な値ではない。)
今回のブルベは道順がわかりやすいためそれほどキューシートを気にかける必要がなく、気楽であった。また、適宜補給を取ったため、ハンガーノックになることもなかった。埼玉300kmブルベで前照灯が暗くて夜間走行のペースが乱れたことの反省として、今回明るいキャットアイHL-EL510を導入したのが成功し、漆黒の闇の中でも不安なく夜間走行をすることができた。自転車走行に際しては、無理に重いギアでペダルを踏むことをせず、85ケイデンス近辺の一定のケイデンスを維持することに留意したため、ひどく疲れることもなく体調を維持してブルベを乗り切ることができたと思う。シュペールランドヌールまであと600kmブルベを残すのみとなった。体調を維持して楽しく安全に走ることを心がけて600kmブルベにも今年中のいつか参加したい。(神奈川400kmブルベ 完)
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